【株式ニューカマー】和雑貨SPAにIT活用、年4割成長へ 和心・森智宏社長

2018.4.16 05:00

 「日本のカルチャーを世界へ」を経営理念にした和心(わごころ)は和雑貨のSPA(製造小売り)と着物レンタルを手掛ける。主要都市や観光地に多店舗展開し、IT化を進めて集客を図り急成長している。2020年の東京五輪・パラリンピックに向けてインバウンド(訪日外国人観光客)需要を追い風に積極出店を仕掛けていく。3月29日には東証マザーズ市場に新規上場した。森智宏社長は「毎年平均30~40%の成長率を目指す」と今後を見据える。

 ◆和装関連に一定需要

 --なぜ衰退産業といわれる和雑貨で起業したのか

 「IT対応が遅れていてデザイン力も十分でなく、新規参入をしても勝てると思ったからだ。一方で呉服小売市場は緩やかな縮小傾向だが、依然として2700億円以上の市場規模で和装関連には一定の需要がある。当社では電子商取引(EC)での販売やICタグでの在庫管理などを駆使して市場を開拓してきた」

 --独自商品をSPAで展開している

 「かんざし、和傘、箸などの企画、デザインから製造、小売りまでを手掛けている。このビジネスモデルを一般的にSPAといっている。しかし当社ではエンジニアもウェブデザイナーも従業員として抱えているため、コンテンツ制作のほか、ウェブ集客も自前だ。空間デザイナーも大工もいるので、出店時の店舗づくりも当社だけでできる。この新しいビジネスモデルを『超SPA』として商標登録を取得した」

 --店舗展開の方針は

 「主要都市や観光地で一定の地域に集中的に出店するドミナント戦略で、京都の祇園・嵐山などに21店舗、東京の浅草・押上に6店舗、鎌倉に3店舗を展開している。各店、かんざし、和傘、箸、ゆかた、和風雑貨、レンタル着物といった専門店として出店し、割引券などを配布して回遊を促して相互に送客し合っている」

 ◆各国語で検索上位に

 --着物レンタルはどのように進めているのか

 「検索エンジン最適化(SEO)対策に力を入れていて、英語、中国語、韓国語のほか、タイ語、ベトナム語、インドネシア語など12カ国語に対応している。このため各国語の検索エンジン上位に表示されて集客につながっている。遠隔地に住んでいる人には宅配も始めた。しかし『どこで着付けをすればいいのか分からない』という悩みが多く寄せられた。そこで全国の着付け師とマッチングできるアプリを開発しているところだ」

 --海外進出の計画は

 「創業以来、外国人向けの商品開発はしていない。日本人が喜ぶ商品が、外国人にも売れるからだ。インバウンドの売上比率は3割ほどだ。海外進出はもっと早くする予定だったが、予想を上回るインバウンド需要があるため、国内展開を中心にしている。しかし、20年以降は潮目が変わってくると思われるので、インバウンド需要が落ちたタイミングで海外進出に乗り出すつもりだ」

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【プロフィル】森智宏

 もり・ともひろ 国学院大卒。在学中の1997年6月に個人事業として創業。2003年2月和心を設立し、現職。39歳。東京都出身。

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【会社概要】和心

 ▽本社=東京都渋谷区千駄ケ谷3-20-12 和心ビル

 ▽設立=2003年2月

 ▽資本金=3億9163万円

 ▽従業員=466人 (2017年12月末時点)

 ▽売上高=35億8800万円 (18年12月期予想)

 ▽事業内容=和雑貨の企画・デザイン・製造・販売、着物レンタル

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