車載移動ATM、ライブ会場などに配置 三菱UFJが鹿児島銀と提携、3メガ銀で初 今秋から

2018.4.17 05:55

 三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)が鹿児島銀行と提携し、今秋から車載式の移動現金自動預払機(ATM)の運用を始めることが16日、分かった。こうした取り組みは3メガバンクで初めて。当面はイベント会場やATMが少ない郊外に派遣して需要を確認、将来的には自動運転車を活用して利用者が希望する場所に呼び出せるサービスを目指す。17日にも発表する。

 移動ATMは、ミニバンの荷室部分に小型ATMを積載。主に休日は首都圏近郊のライブ会場や地方の花火大会など、現金需要がありながら近くにATMがない場所に配置する。

 通帳の読み取り機能を省き引き出せる金額も限定するなど、性能を絞り込むことで滞留時間を短縮し、低コストで運用できるよう実証実験を進める。鹿児島銀はデジタル化など次世代型のシステム投資を進めており、共同で新サービスの開発に取り組むことにした。

 日銀の大規模金融緩和による超低金利の長期化で貸し出し業務の利ざや(貸出金利と預金金利の差)が縮小する中、警備費などで1台当たり月数十万円かかるATMの維持経費は銀行業界共通の悩み。MUFGもインターネットバンキングに誘導することで、赤字ATMの整理を行う方向だが、パソコンに慣れない高齢者が口座を使えなくなる恐れがある。このため、平日は移動ATMを高齢人口が多い地域に派遣し、利便性の低下を防ぐ。

 一方、事業を担うMUFG子会社のジャパン・デジタル・デザインはここ数年で実用化される自動運転技術の導入を見据え準備を進める。

 将来はスマートフォンのアプリで無人の移動ATMを呼び出せるサービスを構想。現金の引き出しだけでなく支店の窓口で行っている本人確認が必要な手続きもその場でできるようにしたい考えだ。

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