2018.5.8 05:00
「レインボー消費」と呼ばれる性的少数者(LGBT)の関連消費に企業が注目している。国内の市場規模は約6兆円に膨らみ、LGBTに配慮した商品開発や接客に各社が力を入れ始めた。
電通ダイバーシティ・ラボが2015年に実施した調査によると、推定で13人に1人がLGBTとされる。「レインボー消費」は、本人のほか、支援者や支持者の活動による消費を指す。
東京・有楽町にあるマルイの店舗は、LGBTの学生や社会人向けのスーツイベントを2月に開催した。社員とLGBTの支援に取り組むNPO法人「ReBit(リビット)」のスタッフが一緒に接客。身長145~196センチまでの幅広いサイズを展開し、デザインもメンズとレディースから選んだり組み合わせたりできるようにした。気になる腰回りのサイズを調整してもらったトランスジェンダーの男性(26)は「店でスーツを買うのが嫌だったが、今日は楽しく選べた」と話した。
丸井グループではすべての客が買い物を楽しめるようにと、数年前からダイバーシティー(多様性)の取り組みを推進している。広報担当者は「継続するためにも事業として成り立たせたい」と説明する。
キリンホールディングスは、初めて社員向けのワークショップを昨年開いた。ビールは中高年の男性が飲むものといった無意識のうちに持っている偏見について議論した。今後、商品開発や販売戦略に生かしていくという。
資生堂では15年からLGBTのイベントでメーキャップやスキンケアのアドバイスを実施している。広報担当者によると、「体が男だとどうしても化粧品を買いに店にいきにくいが、ニーズは必ずある」と指摘した。