2018.5.12 06:13
三菱UFJ銀行、三井住友銀行、みずほ銀行の大手3行が現金自動預払機(ATM)の開発や管理を共通化する検討に入ったことが11日、分かった。ITの進展でインターネットを通じた送金などが普及し、現金取引は縮小すると予想。超低金利の続く厳しい経営環境に対応し、ATM業務を合理化して開発・維持コストを減らす。
拠点を集約して1台を3行の顧客向けに対応させるといった効率化も考え、約2万台に上る設置総数を減らす方向。「自前主義」からの脱却でスリム化を急ぎ、成長が見込める事業に力を注ぐ。
3行のATMはシステムや開発を手掛ける企業が違うほか、通帳の仕様も異なる。このため、共通ATMは通帳の記帳機能を省いた簡易版を想定。数年かけて詳細を詰め、更改時期を迎えるATMのうち営業エリアが重なる駅前や商業施設内などから順次置き換える。
これを機に現金や通帳の取り扱いを少なくしてキャッシュレス化を推進する思惑もある。利便性向上策として、現金の引き出しや預け入れにかかる手数料体系の一本化を探る可能性がある。
大手行はATM拠点数のほか、通帳記帳や繰り越しを自動処理する機能の高さを競い合ってきた。だがネット取引に加えてコンビニなど提携ATMの利用が増え、独自に展開しても収益拡大は望みにくくなっていた。
3行は店舗の削減も進め、浮いた人員は事業承継や資産運用の支援など、より大きな手数料収入を得られる業務に充てる方針。
ただ地方は都市部に比べ、現金や通帳への需要が根強い。合理化が行き過ぎれば預金者から不満の声が出かねず、慎重に検討を進める。