新日鉄住金、来年4月から「日本製鉄」に社名変更 名実とも新たな体制で競争力向上へ

2018.5.17 06:13

 新日鉄住金は16日、来年4月1日付で社名を「日本製鉄」に変更すると発表した。海外進出を加速する中、日本発祥の製鉄会社であることを明確にする。併せて、現在51%を出資する日新製鋼を来年1月1日付で株式交換により完全子会社化することも発表した。名実とも新たな体制で競争力を高める。

 社名は、英文名称も「ニッポン・スチール&スミトモ・メタル」から「ニッポン・スチール」に変更する。変更は6月開催予定の株主総会を経て正式決定する。

 進藤孝生社長は同日の記者会見で、「海外の会社と組むときに、日本の製鉄会社と明記した方が(相手も)分かりやすい」と理由を説明。また、昨年3月に日新製鋼を子会社化し、山陽特殊製鋼の子会社化も予定する中、「もっと(広く)包摂的な名称が必要」とも述べた。

 新日鉄住金は、2012年10月に新日本製鉄と住友金属工業が経営統合して誕生した。新日鉄の前身である八幡製鉄と富士製鉄は、1950年に半官半民の国策会社だった日本製鉄が解体されて誕生したが、進藤社長は「(復活は)意識していない」とした。

 名称が消える住友金属の社員には「基本的には分かっていただいた」と強調した。

 一方、日新製鋼の完全子会社化は、同社の臨時株主総会を経て実施。日新製鋼は、今年12月26日に東京証券取引所を上場廃止となる。

 新日鉄住金の研究開発力や生産力、日新の販売力といった互いの強みを持ち寄り、環境変化に機動的に対応するのが理由。その一環として、2019年4月にグループのステンレス鋼板事業を統合。日新製鋼の衣浦製造所(愛知県碧南市)と周南製鋼所(山口県周南市)の同事業は、新日鉄住金が全額出資する新日鉄住金ステンレス(東京都千代田区)が引き継ぐ。

 新日鉄住金は日新製鋼を子会社化した際、200億円のシナジー効果創出を目指すとしたが、今回の完全子会社化とステンレス鋼板事業統合で100億円を上乗せする。(井田通人)

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