オンライン&マイカーで買い物、気分はドライブスルー 米国で広がる販売の新潮流

2018.6.10 06:30

 米小売り最大手のウォルマートが、客がオンラインで購入した商品を、車まで運んでくれる「カーブサイド・ピックアップ」サービスを導入した。オンラインで購入した商品を、店内のカスタマーサービスでまとめて受け取れるというサービスを実施している小売店は増えてきているが、外まで持ってきてくれる店は少数派だ。買う側としては車で乗り付ければ買ったものを運んできてもらえるので、楽なうえに時間の節約になってありがたい。

▽自分の都合のいい時間帯を指定、しかも無料

 「わざわざ店に出向かなくても、自宅に配達してもらったほうが楽なのでは」と思うかもしれない。もちろんウォルマートも自宅への配送サービスを提供している。しかし配送サービスは有料だ。また、配送時間の指定は可能だが、通常1~2時間の時間帯指定となるため、その間は必ず家にいなければならない。その点カーブサイド・ピックアップなら、自分の都合のいい時間帯を指定することができる。1時間刻みの指定が可能で、たとえば午前10~11時に設定した場合、この時間枠の間ならいつ受け取りにいってもいい。しかも同サービスの利用は無料だ。

 ウォルマートによれば、現在13の地域で同サービスを展開しており、6月にはさらに6地域で開始するとしている。対象品目は生鮮食品を含む食品、洗剤やトイレットペーパー、健康・美容関連品などで(3万点以上)、大型家電製品などは含まれていない。最低でも30ドル分の購入が必要で、午前2時までに購入すれば同日の午前8時以降、午前10時までに購入すれば同日の午後1時以降の、同じ日のピックアップが可能だ。商品をピックアップする日は最長で3週間後まで指定できる。

▽実際に試してみた

 実際にウォルマートのカーブサイド・ピックアップを試してみた。まず、ホームページで最寄りのウォルマートを指定し、野菜や卵などの生鮮品を含む商品を購入。購入時間が午後1時を過ぎていたため同日ピックアップは指定できず、翌日の午前11~12時にした。数分後、ウォルマートから注文を受け取ったとのメールが届いた。ピックアップの日時、店舗、ピックアップの場所が含まれている。品物が揃い、準備が整った段階でまた、メールまたはテキストメッセージを送信するという。

 翌日、指定した時間の10分前、10時50分頃に「ピックアップできます」とのメールとテキストメッセージが届いた。ここからは専用のアプリを使う。アプリを開き「チェックイン」ボタンをクリックすると、「現在店に向かっている」ことが伝わる。この時自分の車の色を知らせるチェック項目もある。位置情報をオンにすれば、筆者が現在どこにいるのか、あとどのくらいで到着するのかを店側が把握できるのでお互いに便利だ。

 指定された店の横にまわり、車を止めて待つこと数分。扉が開いて、商品が入った買い物かご2つを荷台に乗せた店員が出てきた。注文したオーガニックのオレンジと白玉ねぎは品切れで購入できず。小さなカラーパプリカの詰め合わせは大きなカラーパプリカ3個で代替したが、問題ないかと尋ねられる。了承したことを伝えると「トランクでいいですか」といいながら、商品の入った袋を積んでくれた。

 レシートはメールで送信すると伝えられ、初回利用のお礼としてクーポンといくつかの試供品を詰め合わせたバッグを渡された。店員が出てきてからここまでで10分もかかっていない。アメリカでは通常、こうしたサービスを受けた場合はチップを渡すのが普通だが、ウォルマートのページにわざわざ「チップ不要」とあったので渡さなかった。

▽「車社会」ならではのサービス

 家に帰ってから改めて買ったものを確認したが、商品に間違いや問題はなく、卵や野菜は冷たいままで、直前まで冷蔵庫に入っていたことがわかった。

 車社会ならではのサービスだが、便利だと思った。買うものが決まっているなら、店内をさまよう必要がなくなるので時間が節約できる。車まで運んでもらえるのもありがたい。

 ウォルマート以外にも、少数ではあるが、同様のサービスを提供している店がある。中西部を中心に店舗展開するスーパーセンター、メイヤーがそうだ。しかしメイヤーのサービスは有料だ。

 またウォルマートと類似の業態で、同じく全国展開するターゲットも、昨年秋から「ドライブ・アップ」という名称で同様のサービスをミネアポリス・セントポール一帯で開始した。こちらのサービスは無料。ただし食品は保存食品のみとなっており、生鮮食品には対応していない。

 カーブサイド・ピックアップ・サービスは、今後スーパーマーケットの戦略のひとつとして広がっていくかも知れない。

(岡真由美/5時から作家塾(R))

 《5時から作家塾(R)》 1999年1月、著者デビュー志願者を支援することを目的に、書籍プロデューサー、ライター、ISEZE_BOOKへの書評寄稿者などから成るグループとして発足。その後、現在の代表である吉田克己の独立・起業に伴い、2002年4月にNPO法人化。現在は、Webサイトのコーナー企画、コンテンツ提供、原稿執筆など、編集ディレクター&ライター集団として活動中。

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