新車販売「夏の陣」 主力車+先進技術で拡販狙う 市場活性化期待

2018.7.5 22:22

 自動車大手各社による主力車の全面改良や、なじみの深い車名を冠した新型車の投入などが今夏、相次いでいる。スズキは5日、四輪駆動の軽自動車「ジムニー」を20年ぶりに全面改良して発売。各社は知名度の高い車種に安全や通信などの先進技術を加えるなどして、新しい魅力を打ち出そうと躍起だ。新型車の販売競争が過熱すれば、上期に振るわなかった国内市場の活性化も期待される。

 スズキは新型ジムニーと、派生モデルの小型車「ジムニーシエラ」の発表会を東京都内で開催。ジムニーは昭和45年に登場し、「世界最小クラスの四駆」というブランドを確立。レジャー用だけでなく林業や電設業、狩猟などの従事者からの人気も高く、前回の全面改良から時間がたっても、コンスタントに売れ続けてきたという。鈴木俊宏社長は「光る車づくりをしないと認知されない。本格的な四駆にこだわるプロユーザーにしっかり売りたい」と力を込めた。

 新型ジムニーは、電子制御の導入で、ぬかるみなどから脱出する性能を向上させたほか、20年前は一般的ではなかった自動ブレーキなどの先進安全技術を上位モデルに搭載した。

 トヨタ自動車も先月、車載通信機を標準装備した「コネクテッドカー(つながる車)」本格展開の第1弾として、「日本の伝統を引き継ぐ2つの車」(同社)を選んだ。初代が30年に登場した高級車「クラウン」の新型と、「カローラ」シリーズの新型車「カローラスポーツ」だ。両車とも固定ファンが多い一方、若い世代や新規顧客の獲得が課題で、最新機能でアピールしたい考え。

 SUBARU(スバル)は、同社の世界販売台数の約3割を占めるスポーツ用多目的車(SUV)「フォレスター」を今月、全面改良して発売する。初めてハイブリッド車(HV)モデルも設定した。

 日本自動車販売協会連合会(自販連)によると、軽を除く登録車の今年上期の販売台数は前年同期比4.2%減の約173万台で3年ぶりに前年割れした。 (高橋寛次、臼井慎太郎)

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