確定拠出年金、加入100万人超 「個人型」法改正で対象者拡大、年金不信も要因

2018.8.16 06:14

 将来のため投資信託などを私的に積み立てる個人型確定拠出年金「iDeCo(イデコ)」の加入者が、8月中にも100万人を突破する見込みとなったことが15日、分かった。イデコには積立金の全額が所得控除の対象になるなど、大きな節税メリットがある。加入対象が広がったことが最大の要因だが、加入者の増加は老後に不安を覚える人が多いことの裏返しでもある。

 イデコでは、預金や保険といった手堅いものから、日本株や外株、外債など元本割れリスクを取って値上がりを狙う商品まで、投資資金を自由に配分できる。

 6月現在の加入者は約94万人。自営業や企業年金のない事業所の社員らのみが対象だったが、昨年の法改正で主婦なども含め、原則20~60歳のほぼ誰もが加入できるようになった。それまで月に数千人だった新規加入者は法改正以降急増。最近では月3万人ペースで、8月中にも100万人を超える見込みだ。

 自営業であれば年約80万円を積み立てすることが可能だが、会社員だと掛け金の上限は年に30万円に満たず、公務員ならさらに少ない。節税枠を有効に利用することを考えれば、イデコを始める年齢は早いほど有利だ。みずほ総合研究所の堀江奈保子上席主任研究員は「40、50代の人だと現行のイデコのみでは老後の備えに不十分だ」と指摘する。

 加入者急増の背景について、堀江氏は「公的年金への不信感から、将来のために自助努力が必要と感じる人が多いのではないか」と話している。

【用語解説】個人型確定拠出年金

 公的年金にプラスして給付を受けられる私的年金の一つ。自分で運用先を選ぶ。元本が確保されやすい預貯金・保険から、投資信託など運用成績によっては損失が発生する商品もある。掛け金の額の変更は年度内に1回、運用商品の変更は原則いつでも可能。

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