【株式ニューカマー】アプリを柱にIoT事業で急成長

2018.10.1 05:00

 □アンドファクトリー・小原崇幹社長

 and factory(アンドファクトリー)はスマートフォン向けアプリ事業を柱とし、IoT(モノのインターネット)プラットフォーム事業に注力することで急成長している。9月6日に会社設立から4年で東証マザーズ市場に新規株式公開(IPO)した小原崇幹社長は、「アプリとIoTの2つの事業に新規事業を加えて、中長期的な成長を目指す」と話す。

 --アプリ事業の特徴は

 「マンガアプリの『アンドコミックス』は、集英社、白泉社など出版社4社と個別に提携した各社別の公式アプリだ。紙媒体で連載が終了した名作が改めて日の目を見るきっかけとなっているほか、オリジナルタイトルを多数そろえ、各社のコンテンツの特徴を生かして差別化を図っている。『アンドアップス』は主にソーシャルゲーム攻略法の掲示板アプリを展開する。市場動向に合わせたアプリを開発することで売上高、月間アクティブユーザー数(MAU)ともに急成長している。とくにMAUは前年比で2倍に増えると見込んでいる」

 --IoT事業の方向性は

 「宿泊関連に特化する。『アンドホステル』ブランドで、最先端のIoTを駆使した“スマートホステル”を東京・秋葉原など国内6店舗を運営し、近未来のIoT空間を楽しめる体験型宿泊施設として価値を創造している。アンドホステルから事業を拡大し、宿泊予約システムや客室タブレットなどを開発した。宿泊予約システムは約80施設に導入された。宿泊業界はテクノロジー化が遅れているので、今後ビッグデータを活用した高付加価値プラットフォームを開発することで普及を図る」

 --業績の見通しは

 「創業2年目で黒字化を達成し4年連続の増収増益を見込んでいる。創業時から成長のために積極的に投資し、収益化と成長を同時に実現してきた。2018年8月期の売上高は、前期比2.6倍の18億1000万円、営業利益は53.6%増の3億4300万円を見込んでいる」

 --上場の目的は

 「会社を健全に安定して成長させるためだ。創業時から上場を考えていた。企業が成長し続けるには、安定性と認知度の両方が大事だ。調達資金は既存事業を成長させるため、人材採用や広告宣伝に充てる」

 --今後の事業展開は

 「16年8月期は売上高の98%がアプリ事業だったが、18年8月期には55%になり、IoT事業が45%を占める見込みだ。今後アプリ事業は提携出版社を増やして、小説や動画などにも注力し、マンガを介したアドネットワーク事業に取り組む。IoT事業は宿泊施設に加え、住宅やオフィスなどへも導入を働きかける。加えて新規事業を創出して収益化を図っていく」

【プロフィル】小原崇幹

 おはら・たかまさ 東洋大社会卒。2009年シーエー・モバイル入社。12年5月famousを、同年10月ツテコト(現・エイチ)などを相次いで起業。14年9月and factoryを設立し、現職。34歳。東京都出身。

【会社概要】アンドファクトリー

 ▽本社=東京都目黒区青葉台3-6-28

 ▽設立=2014年9月

 ▽資本金=5億4276万円

 ▽従業員=72人(2018年9月末時点)

 ▽売上高=18億1000万円(18年8月期見込み)

 ▽事業内容=アプリ、IoTプラットフォームの開発

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