完全自動運転のレベル4、まず空港から? ZMPや丸紅 EVで

2019.9.11 20:36

 自動運転技術ベンチャーのZMP(東京)は11日、電気自動車(EV)の自動運転小型バスを報道陣などに公開した。すでに3月、丸紅との合弁で中部空港での実証実験を成功させた車両で、ZMPは規制が比較的少なくルール構築がしやすい空港内から先行して、限定区域での完全自動走行「レベル4」の実用化を目指す。これを公道での実用に向けた足がかりとする戦略で、人手不足に悩む輸送関係者の期待は大きい。

 運転席の男性の手はひざの上だが、大きなハンドルがくるくると回り、最高約20キロと低速ながらスムーズにヘアピンカーブを曲がっていく。千葉県成田市のテストコースで、11人乗り(運転席含む)小型EVバスの試走が公開された。

 中国の車両メーカー「安凱客車」(ANKAI)の車両にZMPの自動運転システムを搭載。センサー5台、カメラ1台、衛星利用測位システム(GPS)などで周辺状況を検知。高精度立体地図データと常に照合し、完全自動での歩行者回避や加減速などを行う。

 このバスで3月、中部空港の国際線乗降スポットとバスラウンジの往復約2キロで空港スタッフらを延べ約100人輸送。距離ベースで99%は完全自動を実現した。計5回は手動操作したが路肩に止まった車両や車道にはみ出た歩行者の回避で安全を優先したもので、「条件を詳しく定義すれば対応できるもの」(龍健太郎ロボリューション事業部長)という。技術的には公道でも可能でZMPは昨年、固定ルートながら東京都内の一般道で自動運転タクシーの実験を行った。

 だが公道で実用化となると、一般車両や歩行者の交通量や不規則な動きなど情報量が膨大で、大手自動車メーカーの開発者も「交差点での譲り合いなどはまだ無理。人間のほうが賢い」と話す。中国が自動運転車のみの地区で実験するなどしているが、日本では安全性や法令整備の面からも相当時間がかかる見込みだ。

 一方、空港など限られた区域なら交通量も膨大ではなく、自動運転車両が走りやすい一定のルールも設定しやすい。(今村義丈)

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