自家消費システムに参入相次ぐ 太陽光発電で固定費削減へ

2020.8.10 06:30

 自社所有の店舗や工場などに太陽光発電を設置し、自家消費するシステムを導入する動きが広がっている。電力会社から購入する電気を減らすことで、電気料金を軽減できるからだ。

 自家消費システムの主流は、商業施設や工場の屋根などに第三者が太陽光パネルを設置し、発電した電気を商業施設などが自ら消費する仕組み「PPA」。天候不順で発電量が不足したときは、大手電力会社から購入する。

 MULユーティリティーイノベーション(東京都千代田区)は、イオンと契約を結び、8月からイオンタウン湖南(滋賀県湖南市)の屋根部分でPPAの運用を始める。MULユーティリティーイノベーションの松本義法社長は「新型コロナウイルスの影響で固定費を削減しようと、PPAに着目してくれるお客さまが増えている」と分析。受注を目指す総発電容量について、今後2、3年で100メガワットを掲げる。

 全国のスーパーマーケット店舗を中心にPPAを推進しているVPP Japan(東京都千代田区)は6月下旬から、PPAの太陽光電力を活用したEV(電気自動車)充電施設をスーパーの敷地内につくり、来店客に提供する取り組みを始めた。スーパーと共同で地域移動手段の低炭素化を推進していく。3月には、総額100億円の資金調達を実施しており、2021年までにPPAを国内の流通500施設、累計100メガワットの導入を目指す。

 このほか、第三者が遠隔地で所有する太陽光発電パネルで発電した電気を、大手電力会社の送配電網を利用してビルや工場へ送電して自家消費する仕組み「自己託送」がある。自己託送を導入するには、発電契約者が送配電線に流す発電量の計画値と実績値の誤差を精算しなければならない。いつ、どれだけの電気を供給するか30分単位で毎日予測し、電気事業法に基づく認可法人「電力広域的運営推進機関」に報告する必要がある。

 太陽光発電の設置施工会社のエコスタイル(大阪市中央区)では、気象予報士の資格を持つ社員がおり、自己託送に必要な太陽光の発電量を精緻に予測できる独自の技術が強みだ。同社は「太陽光発電の発電計画を4年以上、毎日作成・報告している。さらに予測の精度を高めたい」と意気込んでいる。

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