偽ブランド品を数分で識別 米企業が新技術、スマホとカメラ活用

提供:ブルームバーグ
エントラピーのカメラとスマホを使ってルイ・ヴィトンのバッグを調べている様子(ブルームバーグ)

 「ルイ・ヴィトン」の本物のバッグと精巧にできた偽物を見分けるのは繊細な作業だ。縫い目を数え、革の表面を触り、プリントパターンに目を凝らす必要がある。だが、米ニューヨークに拠点を置く新興企業、エントラピーはこうした作業をしなくても偽物を見分けることができる技術を持っている。

 エントラピーの技術では、小型の顕微鏡カメラを使えばスマートフォンを持っている人なら誰でも数分でブランド品が本物か否か鑑定できる。同社の説明によれば、1年前にサービスを始めてから、ルイ・ヴィトンやシャネル、グッチを含む11ブランドで精度は98%を上回るところまで向上している。

 ファッションブランド各社はこの数年、ホログラフィックタグやマイクロプリントだけでなく、生地に無線標識まで織り込んで商品の信頼構築に取り組んできた。ロンドンを拠点とする調査会社ビジョンゲインによると、アパレルメーカーは2017年に偽物対策技術に61億5000万ドル(約6770億円)を投じる見通しだが、ネットショッピング特有の匿名性や中古品を扱う販売業者の人気拡大で偽造対策はより難しくなりつつある。

 リアルリアルやヴェスティエール・コレクティブなど中古品を取り扱うオンラインストアでは、経験豊富な専門家が売買する商品の真贋(しんがん)を判定している。偽物を買ってしまったと嘆く消費者のオンライン上の一部レビューをみれば、それは絶対確実とはいえない大変な作業だ。

 エントラピーのカメラなら対象物を260倍に拡大することが可能で、いびつなスタンプマークや表面の小さな凹凸の間隔など人間の目では見えないところが明確になる。この機器は当初299ドルの手数料で貸し出され、月間プランは99ドルから。現時点で質屋や卸売業者、オンライン小売業者など約160社が契約した。

 エントラピーの共同創業者、ビデュス・スリニバサン氏はニューヨーク大学の研究員2人と共に12年に同社を創業。同氏らはコンピューターにブランド品の写真を見せ、フェンディやエルメスのハンドバッグの特徴などを抜き出して学習させることができるのではないかと直感した。問題は、ディープラーニング(深層学習)には膨大なデータが必要なのに、同氏らはそうしたデータを持っていなかったことだった。

 百貨店の婦人用品フロアを偵察したこともあったが、これはうまくいかず、ニューヨークにある幾つかの中古ショップに頼み込んで在庫を見ることを認めてもらった。それに比べれば偽物を調達するのは簡単だった。創業者の一人が中国出張からスーツケースをいっぱいにして帰ってきた。今ではエントラピーのデータベースには約3万点の異なるハンドバッグと財布を基に数千万枚に上る写真が眠っている。顧客が新たな写真をアップロードすれば、ソフトウエアの学習はその分進む。

 エントラピーは7月、デジタルガレージと大和証券グループ本社のベンチャー企業が主導する投資家から260万ドルを調達。スリニバサン氏によると、調達資金はカメラの高速化や小型化に向けた設計などに充てる。同社のソフトを他の用途に使うことも検討していると話した。(ブルームバーグ Pavel Alpeyev)

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