津波で遺伝的多様性が増加 東大などが沿岸の希少植物調査

 
群生するオオクグ民(大林夏湖・東大学術研究員提供)

 東日本大震災の津波で準絶滅危惧種の植物「オオクグ」が育つ砂州が流された後、新たに遺伝的に多様性の高い群落が現れたことが東大などのチームの調査で分かった。予測できない災害の前後の比較は珍しく、希少植物の保全を考える上で貴重な成果という。英科学誌に発表した。

 チームは青森県から茨城県の沿岸で2008年と震災後の13~14年にオオクグを調査。DNAを比較したところ、津波で破壊された後の砂州にできた4カ所の群落で、遺伝的多様性が震災前と比べ2~4割増加していた。砂に埋もれ発芽できなかった種子が津波で地表に出て、育ったためとみられる。

 オオクグは細長い葉を持つ多年草で、海水が入る河口の砂州に生育する。大雨や台風で砂州の場所が変わることで遺伝的多様性を保ってきたが、近年は護岸工事で砂州が固定されるなどの影響で、近親交配が進んで数が減少している。

 チームの大林夏湖(かこ)・東大学術研究員(進化生態学)は「野生生物の保全や人との共存の関係、防災を考える上で意味のある成果だ」と話す。(草下健夫)

Read more