緊急地震速報開始から10年 予測精度、改善重ね80%

 

 地震による揺れの発生を広く知らせる気象庁の緊急地震速報について、平成23年3月の東日本大震災の時期を除く予測精度が、これまでのトータルで80%程度となっていることが30日、気象庁への取材で分かった。緊急地震速報は、一般向けの提供開始から1日で10年を迎えた。

 気象庁によると、今年8月末までに発表された緊急地震速報は、予測震度が最大5弱以上の場合に4以上の地域に出される一般住民向けの「警報」が186回、予測震度が最大3以上の場合に事業者向けに出される「予報」が1万1662回となった。

 震度4以上の予測地域で観測震度との誤差が1階級以内だった割合(予測精度)は22、23年度に一時低下したが、全体的に改善傾向で、27年度には当初目標だった85%を達成した。

 一方、地震活動が活発化すると精度が低下し、東日本大震災では同時発生する複数の地震を1回として処理し、予測が過大になるケースが多発。気象庁は28年に新しい予測手法を導入した他、ノイズによる誤報への対処も含めて、過去6回の技術改善を加えてきた。

 認知度も上がった。調査方法は異なるが、19年9月の調査で緊急地震速報を知っている人の割合が61%だったのに対し、26年3月には70・1%に上昇。気象庁の担当者は「受信設定された携帯電話の普及やアプリの開発も影響が大きい」と分析する。同庁は今後、海底地震計を活用してさらなる迅速化を図るとしている。

 一方で、「警報の範囲が広めに出されているため、受け取る地域で揺れが小さいケースが多い。繰り返されれば“おおかみ少年”効果で、受け手側の反応が鈍くなる恐れもある」と話す東大大学院の鷹野澄教授(情報地震学)のように、発表範囲に改善の余地があると指摘する声もある。

 緊急地震速報 地震の初期微動(P波)が、大きな揺れ(S波)より地中を進む速度が速いことを利用し、S波の到達を事前に知らせる仕組み。震源に近い地震計がP波を検知した直後から震源や地震の規模を示すマグニチュードを推定する。予測震度が最大3以上の場合に事業者向けに出される「予報」と、最大5弱以上の場合に4以上の地域に出される一般住民向けの「警報」がある。