減少一転、米で脳卒中増加の恐れ

提供:ブルームバーグ
脳卒中の危険因子の一つが肥満だ(ブルームバーグ)

 米国では少なくともここ50年、脳卒中の死亡率は減少し続けている。だが、米疾病対策センター(CDC)の最新の報告書によると、近年は減少傾向が失速気味で、ともすれば上昇に転じる可能性さえあるという。

 10年前に死因第3位だった脳卒中は、2013年には第5位に順位を下げたものの、こうした明るいニュースはより厳しい予測を目立たなくする。長年にわたり健康状態を悪化させてきた結果、脳卒中を患う米国人は増えると予想されている。

 血栓や大出血により脳卒中が起こると、数分以内に脳に障害が生じる。米国では毎年約80万人が脳卒中を発症し、患者の約6分の1が死亡する。命を取りとめた人も、多くは重篤な障害に苦しんでいる。脳卒中の危険因子には高血圧、喫煙、肥満、糖尿病などがある。

 高血圧症の罹患(りかん)率は近年横ばいになったが、患者の半数以上は血圧管理を行っていない。肥満と糖尿病は1980年代以降、大幅に増加し、今では米国の成人の3分の1以上が肥満とされている。こうした疾患を若年で発症し、罹患期間が長くなると、脳卒中のリスクは増加する。

 CDCの報告書を執筆したクワンヘ・ヤン氏らは、死亡診断書のデータを解析し、脳卒中に関する傾向を割り出した。その結果、35歳以上の米国人では、脳卒中による死亡率が今世紀初頭の10万人当たり118人から15年には同73人へと減少したことがわかった。

 だが、全体的な死亡率と同様、脳卒中による死亡の長期的な減少傾向は停滞気味で、統計的に有意な変化ではないものの、13年から15年にかけては年率2.5%の増加に転じている。

 当然のことながら、脳卒中による死亡者数が永遠に減少し続けることはないが、その80%は生活様式などの危険因子を修正することで予防可能だという。禁煙し、砂糖や塩の摂取を控え、果物や野菜を多く食べ、体を動かし、高血圧症や糖尿病など慢性疾患の治療を受けるよう、CDCは勧めている。

 脳卒中患者の生存率を改善するためには、しびれや歩行困難など発症の兆候を知り、脳卒中を疑う場合は即座に救急車を呼ぶことも重要だ。

 ヤン氏によれば、脳卒中は他の慢性疾患が続いた後に現れるもので、その死亡率の変化は厄介な兆候。「危険因子の制御に失敗すれば、脳卒中による死亡は増えるだろう」と述べた。(ブルームバーグ John Tozzi)

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