電通に罰金50万円判決 裁判官、山本社長に「社会的役割期待している」

 
東京地裁に入る電通の山本敏博社長=6日午後、東京・霞が関(川口良介撮影)

 新入社員の過労自殺に端を発した大手広告会社の電通(東京)の違法残業事件で、労働基準法違反罪に問われた法人としての同社の判決公判が6日、東京簡裁で開かれた。菊地努裁判官は「違法な時間外労働の態様は軽視できるものでなく、尊い命が奪われる結果まで生じたことは看過できない」として、電通に求刑通り罰金50万円を言い渡した。

 菊地裁判官は電通について「日本を代表する企業の一つで、労働環境の適正化に率先して取り組むべき立場にあるところ、違法な長時間労働が常態化していた」と指摘。平成26年6月に関西支社が労働基準監督署から是正勧告を受けるなどした後の対応も、2020年東京オリンピック・パラリンピック関連の業務が受注できなくなることを避けるための「会社の利益を目的として行われたものだった」と認定した。

 より長時間の時間外労働が可能になるよう協定を改定するなど、形式的に違法状態を解消しようとする対応に終始したため、業務量削減などの抜本的対策が講じられず、サービス残業が蔓延していたことなどから「電通の刑事責任は重い」とした。

 一方、考慮すべき事情として、事件が報道されたことで会社の業績が落ちるなど社会的制裁を受けていること、午後10時~翌午前5時の業務を原則として禁じるなどの再発防止対策を導入したことなどをあげ、罰金50万円が相当と結論づけた。

 公判には会社の代表として山本敏博社長が出廷。菊地裁判官は判決理由の言い渡し後、山本社長に「日本、業界を代表する企業。ぜひ立場に相応した社会的役割を期待している」と話しかけた。

 判決によると、電通は過労自殺した新入社員の高橋まつりさん=当時(24)=ら社員4人に対し、本社の労使協定(三六協定)が定めた月50時間を超え、平成27年10~12月に月3時間30分~19時間23分の時間外労働をさせた。

 東京区検は29年7月、労働基準法違反罪の両罰規定を適用し、法人としての同社を略式起訴したが、東京簡裁は非公開の書面審理だけで罰金刑を言い渡す略式命令を「不相当」と判断し、正式な裁判で審理されていた。

 ■電通違法残業事件

 東大卒業後の平成27年4月、電通に入社した高橋まつりさん=当時(24)=が、同年12月に東京都内の寮から飛び降り自殺し、三田労働基準監督署が長時間労働が原因として、28年9月に労災認定した。東京労働局は12月、法人としての電通と高橋さんの上司だった本社幹部1人を書類送検。電通は今年1月、再発防止策をとることなどで高橋さんの母、幸美さん(54)と合意した。

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