宇都宮舞台の映画「キスできる餃子」 ヒットメーカー手がける地方創生

北関東のやぼう
映画「キスできる餃子」の撮影現場で出演者らと打ち合わせる秦建日子監督(中央)=JR宇都宮駅前

 宇都宮といえばギョーザ。11月4、5日には宇都宮城址(じょうし)公園(栃木県宇都宮市本丸町)で恒例の「宇都宮餃子(ギョーザ)祭り」が開催される。総務省家計調査の1世帯当たりギョーザ購入額は、首位の座を3年連続で浜松市に明け渡しているが、人気ギョーザ店は観光客が列を作り、ギョーザといえば、やっぱり宇都宮なのだ。

 ギョーザをテーマに宇都宮を舞台とした映画「キスできる餃子」が撮影され、来年の公開に向けて編集作業が進んでいる。監督はテレビドラマや映画でヒットした「アンフェア」の脚本などを手がけた秦建日子(たけひこ)さん(49)。地方創生ムービー第2弾として取り組んだ。

 きっかけは1年以上前、横浜で開催された宇都宮ギョーザのイベントとの出合いだ。「各店が持っている情熱、おいしくて安いものを多くの人に食べてもらおうという店主のプライドがあった。映画製作も多くの人が長期間にわたり関わる。熱がないと息切れする。パートナーを組むのに最適だと思った」。秦さんは何度も宇都宮に足を運び、準備を進めてきた。

 秦さんに宇都宮の街やギョーザ店を案内、映画の構想段階から関わってきたのが宇都宮餃子会事務局長の鈴木章弘さん(45)だ。「初めは映画なんて夢のまた夢みたいな話と思っていた。いざ映画を作るとなると、何を伝えるべきか悩んだ。伝えたのは、ギョーザの魅力だけではなく、ギョーザから広がる人間模様。店主の人柄、心意気だ」という。普段は「たかがギョーザだよ」としか言わない店主らの隠れたプライドが見えるような作品にしたいと、さまざまアイデアを出し合った。

 作品は、人気女優、足立梨花さんを主役に据えたラブコメディー。異質な組み合わせに見えるギョーザと恋愛の化学反応がストーリーを盛り上げる。タイトルは、鈴木さんが秦さんを案内しているマイクロバスの車中で、ぽろっと出てきたキーワードという。

 撮影は8月17日~9月8日の3週間に及んだ。8月後半の長雨の時期に重なって天候に振り回され、クランクアップ直前は秦さん自身が体調不良で点滴を受ける緊急事態にも陥った。だが、秦さんは「苦労もひっくるめて山のようにいろいろな体験ができ、大きな財産になった」と振り返る。

 公開を目指す来春は、栃木県19年ぶりのJRグループ大型誘客事業「デスティネーションキャンペーン」(4~6月)もある。ヒットメーカーと地元の情熱のタッグでチャンス到来となりそうだ。(宇都宮支局 水野拓昌)

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 餃子VSラブコメ バツイチ子持ちのシングルマザー、藤田陽子(足立梨花)が宇都宮に戻り、実家のギョーザ店の再建に奮闘しながらも、謎のイケメン岩原亮(田村侑久)に出会う。岩原はプロゴルファーだったのだが…。秦建日子さんの初監督作品「クハナ!」(昨年公開)は三重県桑名市を舞台にした地方創生ムービー第1弾。