「研究活動や創造活動の成果を、知的財産として、戦略的に保護・活用し、わが国産業の国際競争力を強化することを国家の目標とする」。2002年2月4日、小泉純一郎首相(当時)が「知的財産立国宣言」をして10年が経過、これから新たな10年が始まる。課題は権利意識と権利のための実行力形成にあるのではないか。
日本の企業や大学・研究機関などについて、海外の企業や法律事務所、技術移転機関の関係者らが指摘するのは「権利行使(enforcement)」の欠如だ。権利行使とは自分の知的財産権を守り活用すること。権利の使用契約を結び、料金を請求し、権利侵害された場合、商品の排除や損害賠償金の支払いを法的に訴えることだ。
IPS細胞のように日本には素晴らしい先端技術があるが、それだけでは国際競争力には結びつかない。企業や大学はまず技術を権利化する必要がある。そして本当に重要なのはその先だ。権利者に権利行使の意識と実行力がなければ、権利を守り収益をあげることは難しい。
権利があっても、権利行使をする意志のない企業や大学・研究機関の技術は海外から模倣や侵害の対象と化す。権利化費用は無駄になる。逆に、アジアの新興諸国も含め、海外の権利者は決して甘い対応はしない。この構図は、領海侵犯した漁船を勾留も賠償請求もなしで無罪放免したことに似ている。環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)が進めばなおさらだ。大企業も中小企業も、大学も研究機関も、権利行使すべき時代が来ている。