中国をノーベル賞から遠ざける理由 屈折したまなざし (2/3ページ)

2012.10.30 07:40

莫言氏

莫言氏【拡大】

 ここで毎年話題となるのが、自然科学分野のノーベル賞をなぜ中国の研究者が一人として受賞できないのか、である。海外に活躍の場を求めた華人系の研究者を見渡せば、物理学者のスティーブン・チュー米エネルギー長官や、台湾に戻って中央研究院の院長を務めた李遠哲博士ら、この分野でのノーベル賞受賞者は十指を数える。

 羅針盤や火薬など世界4大発明を生んだ大国で、科学振興が出遅れた理由は、文明史の角度でさんざん論じられてきた。

 時代を支えたエリートが儒教に根ざす政治文化に浸りきり、実学や技術を軽んじた結果が清末以降の国家的衰退を招いたという説は説得力がある。

 台湾で活躍した外省系の作家、柏楊は、中国人論「醜い中国人」で、こうした中国の伝統文化を「味噌瓶(がめ)」にたとえ、メンツ争いや足の引っ張り合いに明け暮れた末、どんな逸材も「漬けたが最後、すべて味噌の臭(にお)いに染まる」と切り捨てている。

 在米中の1957年にノーベル物理学賞を手にした李政道博士ら華人系の碩学(せきがく)が仮に国内で研究を続けていたら、受賞どころかえもいわれぬ味噌の発酵臭を漂わせていたのだろうか。

地道な努力より、手近な成果を競う風土

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