1つ目は、国土に縦横無尽に張り巡らされたガスパイプライン。産出したガスは、すぐ各地に送ることができる。産地と消費地がリアルタイムにつながっており、市場が形成されやすかった。2つ目は、エネルギー事業者の層の厚さ。テキサスでの油田開発に代表されるよう、米では資源開発事業者が集積しており、産業の層の厚さがシェール革命を起こした。
そして3つ目は、地下資源も地主の所有となることだ。シェールの開発では、地主がマージンを得る仕組みがつくられる。大半の国では地下資源は地主に帰属しないとされているなか、事業者だけでなく、地主も利益を得る仕組みが開発を促進させているという。
訪問した場所も、地番がなく人は誰も住んでいない山地だったというが、今は“宝の山”に変身。先ほどの男性がご機嫌な様子だったのもうなずける。現代版ゴールドラッシュは、あらゆるところに波及しているようだ。
さて、本題のシェール掘削現場。井戸のある場所から少し離れたところに、クレーンのような掘削機材が1本、たてられていた。想像より相当小規模で、作業員もわずか数人しか見えない。資源開発の風景としてテレビでよく見る炎など、どこにも上がっていない。
巨大資本の石油メジャーの開発と違い、独立系の中小事業者が多いこともあるのだという。一発当てれば大きい資源開発。その構図だけは変わっていないようだ。
(内山智彦)