規制委に従った川内原発、追加工事避け対立した大飯と明暗

2014.3.13 12:38

 原子力規制委員会は13日、九州電力川内1、2号機(鹿児島県)を優先審査する原発に決定した。昨年7月から92回の審査会合を経て、ようやく合格の一番乗りを果たす公算が大きくなった。審査が終盤に入っている九電玄海原発3、4号機(佐賀県)や四国電力伊方原発(愛媛県)も続く可能性があり、再稼働に向けて大きく前進した。

 昨年7月の新規制基準施行と同じ時期に、4電力会社が、6原発10基の審査を申請した。中でも、川内は基準地震動(想定される最大の揺れ)を「安全側に行き過ぎている」(九電幹部)というほど、規制委の要求に全面的に従った。基準地震動を上げても追加工事がなく、大幅見直しが可能だったことが大きい。

 これに対し、先頭集団にいたものの規制委と対立して自らのデータに固執し、遅れたのが関西電力大飯原発3、4号機(福井県)。新規制基準が施行される前に事前確認を済ませ、稼働していた実績が強みだったが、規制委が再三要求していた周辺活断層の三連動の可能性を拒否し続けた。

 三連動は最終的には認めたが、今度は地下の震源が地表からどれくらいの深さになるかを決める「地震発生層」の距離についても指摘を受けた。関電は「地表から4キロ」を譲らなかったが今月12日に規制委側の要求に応じて、ようやく「3・3キロ」に訂正した。

 見直しによって759ガルとしていた基準地震動は大幅な引き上げが必要となり、追加工事を迫られる可能性もある。長期間の工事を避けるため、関電は地震動の引き上げを阻止しようと躍起になったのが審査を長引かせた要因だ。

 そのほかの原発では、伊方がまだ地下構造の把握に時間がかかり基準地震動が示されていない。関電高浜原発3、4号機(福井県)も、大飯のデータ解析に手を取られ、地震動の策定が遅れている。

 審査が先行している原発は加圧水型軽水炉(PWR)のみで、事故時に格納容器の圧力を下げる「フィルター付きベント(排気)設備」の即時設置義務がないことが大きい。

 審査が序盤の中国電力島根原発2号機(島根県)など4原発は沸騰水型軽水炉(BWR)で、ベント設備の義務化が今後の審査の焦点となる。(原子力取材班)

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