--最後に、日本の果たす役割について
「疫学調査というのは、新しいことをやろうとすると、その基盤整備などに資金が必要となります。また、調査対象地域が経済発展すると人の動きが激しくなり、放射線以外のファクターが多くなるので、分析はますます難しくなります。今回のような長期にわたる調査は、日本だからこそ調査ができたのだと思います。日本はこれまで、短期的に成果の出ない研究にも比較的寛容でした。欧米のように短期的な結果を求めると、今回のような長期的な調査は難しい。日本がこのような役割を果たしていくことは重要です」
【プロフィル】秋葉澄伯
あきば・すみのり 1951年北海道生まれ。医学博士。がんの疫学が専門。札幌医科大学医学部卒業後、同大学大学院社会医学系専攻修了。82年放射線影響研究所研究員、92年鹿児島大学医学部教授などを経て現職(医歯学総合研究科健康科学専攻 人間環境学講座 疫学・予防医学分野教授)。