【放射線と健康リスク】長瀧重信・長崎大学名誉教授に聞く(2-2) (3/5ページ)

2014.3.27 05:00

 ◆すべての健康被害を福島に結びつけない

 田崎 チェルノブイリ事故では放射線による影響として、子供の甲状腺がんが増えたことが確認されていて心配になります。福島でも18歳以下の全県民を対象に超音波を用いた精度の高い甲状腺検査を実施していますがどう見ていますか。

 長瀧 福島県の「県民健康管理調査」検討委員会の報告では、2013年11月15日までに検査を受けたのは約25万5000人。このうち二次検査が必要とされたのは1796人で、うち75人が「悪性ないし悪性疑い」と診断されています。ただ、福島の子供たちの甲状腺被ばく線量は避難地域の子供でも、国際機関が安定ヨウ素剤の服用を勧告する被ばく線量(介入線量)以下であることを忘れてはいけません。これは、日本がチェルノブイリを教訓として、事故直後に放射性ヨウ素を取り込みやすい牛乳や野菜の出荷規制や、放射能汚染区域からの避難を迅速に行ったからです。国連科学委員会も昨年10月、「福島事故による放射線は健康被害の原因にはなっていない。将来も健康影響は起こらないだろう」と発表しています。被ばくの影響があるかもしれないから健康管理調査を続けるというのは理解できますが、漫然と調査を続けるだけでは県民の不安は解消しません。かえって心配のタネが増えかねません。

 田崎 それはどういうことですか。

 長瀧 たとえば、現在は医療機器の精度が向上し、がんの発見率が格段に上がっています。しかし、その原因が放射線なのか科学的に十分検証されないまま、とにかく放射線のせいになってしまっている傾向です。そういう心配の種をつくって、本当に県民のため、お母さんたちのためになるのかということをいちばん気にしています。

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