□歴史に名を残した先人たち
■「人が人を育てる」校風
「中央大学にとって変わらぬ伝統として大事にしたいものは何かというと、それは人と人との結び付きによって人が人を育て育むという校風であろうかと思います」(福原紀彦学長)
この伝統が創立のころから培われてきたことを物語るように、1889(明治22)年から93(同26)年ごろにかけての卒業証書は、卒業生の名前に続いて増島六一郎校長以下、講師の名前をイロハ順に横一列に記した巻軸(巻物)タイプの重厚なもの。一人一人の講師が自分の知識の及ぶ限りを卒業生に伝えたという自信と情熱を感じさせる。
また、巻軸タイプになる前の、やはり講師名を列記した現存する最古の卒業証書の文面は、卒業生の名前に続いて「本校ニ於テ法律学全科ヲ修メ其業ヲ卒フ仍テ卒業証書ヲ授与シ爰ニ之ヲ証ス爾後永ク本校々友タルノ特権ヲ享有スヘシ」(原文は旧字体)とある。
「『本校々友タルノ特権』とは、『實地應用ノ素ヲ養フ』という建学の精神を体したという意味であり、単なる知識の受け渡しにとどまることなく、人から人へ受け継いでいく素養・資質といったものを大切にすることをベースにしていると思います。私たちは今、そのことを再確認し、それをベースにした教育改革を一層進めているところです」(福原紀彦学長)
■「国際化」のDNAと多彩な人材
英吉利法律学校初代校長の増島六一郎は「日本語よりも英語が達者」といわれたほどの英語使いとして知られ、アメリカ公使やイギリス領事らを招いた開校式での挨拶も英語で行った。創立者18人のうち6人が英米留学経験をもち、その他の人たちも当然のことながら英語など外国語に堪能だった。発祥のときからインターナショナルなDNAは中央大学の中に組み込まれていたといえる。