【視点】産経新聞正論調査室長・工藤均 大川小の被災校舎 (1/3ページ)

2014.4.22 05:00

 ■震災遺構の候補として議論を

 東日本大震災による津波で児童ら84人が死亡、行方不明となった大川小学校(宮城県石巻市)で、津波から逃れて生き残った卒業生たち5人が今月6日、校舎を「震災遺構」として保存する活動に取り組む考えを表明した。今後、署名運動などを展開していくという。

 大震災の象徴的な場所として関心が高い同小をめぐっては、石巻市の検討委員会が当初から候補の対象外としていたが、市民や研究者らからも保存を求める声が出始めている。結論から言えば、地域住民らの意向など現状を把握したうえで、議論の対象に追加すべきだろう。

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 「大川小は『心の居場所』」「校舎に思い入れがある卒業生は多いはず。起きたことを伝えるためにも」…。卒業生の思いを知ったメンタルケア支援グループの協力で開かれた集いで、卒業生たちはこう訴えた。

 震災当時は6年生で、同級生21人中16人を失った高校1年の女子生徒3人と、当時5年生で津波にのまれながら助かった中学3年生の男子生徒らだ。

 石巻市は昨年10月、震災遺構の選定・保存方法を主に協議する学識経験者らによる「震災伝承検討委員会」を設置し、対象候補として3カ所に絞り込んだが、大川小は入れていない。地震発生後の学校側の対応などをめぐり、第三者による検証委員会の調査が始まったことや、遺族の心情などにも配慮して外したとみられる。

 大川小について考えること自体、“アンタッチャブル”という意識が働いたともいえるが、当初の判断は賢明だった。ただ、議論は今後もまったくしないのか、“放置”し続けるのか、それともどこかのタイミングで解体しようとするのか…、不明瞭なままだ。こうした状況が子供たちの動きと無関係ではないはずだ。

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