神奈川県警が摘発した銃刀法違反事件で、一躍注目を集めた3D(3次元)プリンター。拳銃製造に悪用されたが、産業界では「21世紀の産業革命をもたらす」と期待される技術だ。市場は米国メーカーが圧倒しているが、30年以上前に源流となる技術を発明したのは日本人研究者だった。高まる期待の半面、犯罪への悪用も懸念されており、専門家からは法規制の必要性を訴える声も出ている。
日本人が発明
3Dプリンターは3次元のデータを基に複雑な立体を作製できる装置。樹脂を塗り重ねる製法や、光で固める光造形法などがある。光造形の技術を昭和55年に世界で初めて発明して特許を取ったのは名古屋市の弁理士、小玉秀男さん(63)だった。名古屋大学大学院修士課程を修了後、市工業研究所に入り、光を当てると固まる樹脂などを目にして、3Dプリンターの発想がひらめいた。
だが国内では製品化に至らず、その後、米研究者も発明。米国では製品化が進み、市場は現在、米大手2社が世界シェアの大半を握る。造形方法で多くの特許を持ち、米政権も後押ししているためだ。米調査会社は2021年の世界市場規模が12年と比べ約5倍の約1兆円に達すると見通す。