【生かせ!知財ビジネス】原子力産業界はより高次元の事業者たれ (1/2ページ)

2014.6.21 05:00

 放射性物質を含んだ廃棄物や廃土の最終処分問題が、いまだ解決をみない。最高の英知を結集して、なぜできないのか。国立環境研究所(NIES、茨城県つくば市)の要請で2年前、放射能汚染された焼却灰の処理を実証したフジコーポレーション(以下フジコーポ、長野県佐久市)。その廃棄物問題への姿勢は注目に値する。

 「先行技術調査をすると廃棄物処理問題の有力技術としてフジコーポの特許は必ず挙がる」(都内の特許専門サーチャー)。資本金1000万円、役職員11人余りの中小企業が、国内だけで特許権40件、商標権75件、実用新案権22件を保有する。この知財の一つ、「盛土材圧密成形工法」(特許4317260ほか)などを活用し、1キロ当たり8000ベクレル超の放射能汚染焼却灰を固化し汚染物質の溶出可能性がないことをNIESと検証した。

 放射性廃棄物に限らず廃棄物処理問題の構図は似ている。処分場では周辺住民の反対はつきものだ。

 同社創業者の山口藤吉郎氏は「許認可を与えられたどの(廃棄物処理)事業者も、修士以上の科学的知識を身につけて常に高い意識を持って業務に臨んでいるだろうか。一方で環境関連の法律などは事業者に厳格な基準を出しているだろうか。基本となる問題の一つはここにある」と指摘する。事業者と規制の両輪がより高次元に達する余地が、まだあるというわけだ。当然こうした山口氏の意見には業界内から反発の声も上がる。

 だからこそ同社は、より高次元の事業者になるために率先して徹底した活動を行う。廃棄物の再利用、汚染物質の溶出防止や埋め立て、廃棄物の貯蔵管理や監視などの開発技術は多くの知財群に表れている。さらに関係する住民らの理解を得るための情報公開・広報、万が一の補償の積立金や損害賠償保険の準備まで手を尽くす。

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