【ビジネスアイコラム】学際的研究で被災地復興を (2/2ページ)

2014.8.29 05:00

 世界の中で、国内に避難している人数は2500万人と推定されている。今回の震災の避難者は全国で7月10日現在24万7000人であるから、約1%に相当する。こうした研究者の指摘は、震災地の復興に世界的な視野をもたらす。

 参加国の研究者たちは、自国の災害から被災地が復興する要件として、地域の産業の再建とコミュニティーの再構築を共通して挙げている。

 キックオフの研究会に参加した、早稲田大学理工学術院教授で博物館明治村館長の中川武氏は、カンボジアの内戦後にアンコールワットの修復事業にかかわった経験なども踏まえて、「伝統の復活が社会の復興につながる」と述べた。岩手県大槌(おおつち)町で伝統芸能を復活する活動を進めている。

 同文学学術院教授の近藤二郎氏は、宮城県・松島の宮戸島で、原種の山桜の花で島を覆うようにする「縄文桜」の計画を進めている体験を語った。観光地のブランドをさらに確立して、地域振興に役立てる方策である。

 東日本国際大学理事長の緑川浩司氏は「政府の政策を待つばかりではなく、震災地から復興の知恵を創出していきたい」と語る。

 政府の「地方創生」の政策と震災地の学際的な取り組みが一つになって、復興のスピードが上がることを願う。(シンクタンク代表 田部康喜)

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