東京電力は22日、福島第1原発の廃炉作業で、1号機のがれき撤去のため建屋カバーの解体に向けた工事を始めた。放射性物質の飛散防止に対して地元の合意が得られたためで、カバーの撤去ができ次第、1号機の燃料貯蔵プールに保管されている燃料棒の取り出し作業にかかる。
この日午前、放射性物質の飛散を防止する薬剤をまくため、建屋カバーの屋根部分に穴を開ける作業に着手。今月末ごろまでに、飛散防止剤の効果を確認するため、屋根部分の一部のパネルを試験的に外す。来年3月から約1年かけて、建屋カバーを解体する。
水素爆発があった1号機の原子炉建屋最上階には、放射性物質に汚染されたがれきが積もっている。放射性物質の拡散を防ぐために平成23年10月、建屋カバーを設置したが、廃炉作業を進めるためにカバーを取り除くことが決まっていた。
しかし昨年8月に行った3号機のがれき撤去作業で、放射性物質を含むちりやほこりが巻き上がり、数十キロ離れた福島県南相馬市ではコメから基準値以上の放射性物質が検出された。
当初、1号機のがれき撤去は昨年度中に開始する予定だったが、原子力規制委員会は「飛散防止を十分にしなければ1号機の工事は着手できない」と指摘していた。東電は飛散抑制対策として、監視場所を増やし、作業時の散水や防風シートを導入。設備機器の開口部をふさぐため大型の風船も用意した。