脂の乗りがよくマグロに近い味で「幻の高級魚」ともいわれる「スマ」について、和歌山県水産試験場(串本町)が稚魚を飼育する技術を向上させることに成功した。生後間もない時期の共食いや、飼育槽の底に沈んで死ぬなど致死率の高さが課題となっていたが、さまざまな工夫を重ねて克服。同試験場は、産業化に向けた生産技術の確立へ、さらに研究を進めたいとしている。
スマは、スズキ目サバ科の回遊魚で、マグロの近縁にあたる。脂が乗りやすく味も良好で、成長が早いのが特徴。大きいもので体長50~60センチ、重さ3~4キロ程度になり、インドネシアやフィリピンなど南方が生息地のため日本ではほとんど獲れず、「幻の高級魚」とされている。
同試験場は、マグロより小型で飼育しやすい点に着目し、平成24年度から生産技術の開発に着手。いけすに出すことができる体長4・5~6センチまで育てる方法を探ってきた。