ただ「販売店でさえ本物と見分けにくい商品もある」(有名ブランドの担当者)だけでなく、模倣品を隠蔽(いんぺい)しようとする業者の手口も巧妙化している。
財務省が例に挙げるのは、スマートフォンのケースだ。シンプルなデザインのようでも、よく見ると表面が剥がれるようになっており、その下からは米アップルの「リンゴマーク」が出現する。また、違法な物品を納めた箱を何重にもした別の箱に入れて隠し、発覚を免れようとしたケースもあったという。
違法な輸入品は抜き打ち検査で発見に努めているが、全てはチェックしきれない。日本の税関を挑発するかのように、中国の業者が運営しているみられるホームページには「届くまで送り続けます」と、模倣品の納入を保証する文言すら躍る。業者にすれば、模倣品は原価より割高で売れるため、数回ほど差し止められても十分に採算が取れるとの計算が働いているとみられる。財務省関税局の担当者は「購入する消費者にも節度を持ってほしい」と苦言を呈する。