東京都の有識者会議「都受動喫煙防止対策検討会」(座長・安念潤司中央大大学院教授)が喫煙者と非喫煙者の溝の深さを象徴するように混乱のまま終了した。罰則付き条例の早期実現を求める条例推進派が、まとまりかけた提言案をひっくり返して期間延長をゴリ押し。年度またぎで5月29日に追加開催となった第6回の出席者は委員12人中、推進派の7人のみ。条例制定に一番慎重だった委員は任期延長を辞退し欠席した。
最大の焦点だった条例制定については、提言案と同じように事実上見送られ、「2018年までに条例化の検討を行う」との表現にとどまった。一方、「受動喫煙防止のための明確なビジョンと対策を示す」「国に対して全国統一的な法律での規制を働きかける」ことを盛り込み、条例推進派にも配慮。安念座長は「委員の誰にも満足いかないものであると思う。対立が先鋭的な場で意見をとりまとめるには、不満足を均衡させるしかない」と疲れきった表情で述べた。
医療関係者に偏った委員構成
愛煙家としても知られる元経産省官僚で慶応大大学院教授の岸博幸氏は「委員の構成に問題があった」と事務局の人選ミスを混乱の原因に挙げる。検討会は2020年の東京五輪・パラリンピック開催に向け、屋内での喫煙のあり方を考えるために昨年10月に設置されたが、12人の委員のうち医療・医学関係者が9人を占めていた。