九州電力川内(せんだい)原発1号機(鹿児島県)が再稼働した11日は、東日本大震災と東京電力福島第1原発事故から4年5カ月となる節目の日だ。原発事故でいまだ10万人以上が避難生活を送る福島県内の被災者からは「再稼働は許せない」という怒りの声が上がる一方で、「電気を使う以上、原発は必要」と理解を示す声も聞かれ、複雑な思いが交錯した。
福島第1原発から北西に約40キロ離れた福島県飯舘村から避難し、4年3カ月にわたり福島市の仮設住宅で暮らす元大工の遠藤由勝(よしまさ)さん(71)は原発事故の収束作業が続く中で再稼働したことに怒りをあらわにする。「わたしたちのこの状況を見ていないのか。また事故が起きれば大変なことになる。絶対に許せない」と憤る。
全町避難が続く浪江町の主婦、金井春子さん(66)は原発事故後、避難のため7カ所を転々とし、現在は福島市の仮設住宅で生活する。自宅は第1原発から約5キロの場所といい、「なぜ震災の月命日に再稼働するのか腹立たしい。家族がばらばらにされた気持ちを分かってほしい」と訴えた。