【視点】最終処分場の計画 近づく「科学的有望地」の公表 (1/3ページ)

2015.9.1 05:00

 □産経新聞論説委員・長辻象平

 吉と出るか、凶と出るか--。

 近々、国から高レベル放射性廃棄物(HLW)の最終処分場の建設に適した「科学的有望地」が示されようとしている。

 原発の使用済み燃料を片付けるこの最終処分場は、認可法人の原子力発電環境整備機構(NUMO(ニューモ))が自治体からの応募を待つ形で、2002年から適地を探しているが、進展がないまま今日まで経過している。

 その立地点探しのために、国が腰を上げたのだ。HLWは固形のガラスに加工され、地下300メートル以深の岩盤中に埋設されることになっている。活断層がなく、火山からも距離があり、地下水の流れが少ないことが、地下の最終処分場には必要だ。

 こうした地質学的な条件を備えた地域が科学的観点に立った場合の有望地というわけだ。この有望地に区分けされた地域内の自治体に対し、次の段階で国の側から、建設のための地質調査などへの協力の申し入れを行おうという段取りである。

 NUMOによる応募方式との併用だが、方針の大胆な転換だ。一気に難題解決に向けて進む可能性もあるし、一斉総反発の動きが起きる事態も考えられるのだ。

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 うまく進むケースは、市町村側に誘致の考えがあるのだが、反対派への対応などを考えて、その大変さに二の足を踏んでいるところに、国からの検討の申し入れがあり、それを受けて対応が始まるという場合だろう。07年に応募手続きに進みかけた高知県東洋町の場合は、町が真っ二つに割れ、町長の交代劇が起きている。こうした前例があるので、自治体からの応募の手は挙がりにくくなっていた。

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