都だけにまかせておけない
この事態を受け、これまで「東京都が逃がしたのだから、東京都が責任を持って根絶すべきだ」としていた大島町も、今年度から対策に乗り出した。
大島町の統計によると、26年度の鳥獣によるアシタバなどの農産物の被害額は約581万円。うち約380万円がキョンによるものという。畑が全滅した農家もあり、町では人家や畑の周辺を中心に、わなを仕掛け捕獲している。
房総半島では昭和30年代、千葉県勝浦市の動植物園「行川アイランド」(平成13年閉園)から脱走したキョンが野生化。19年度は推定3400頭だったのに対し、26年度末は約4万7千頭に増えている。
千葉県の26年度の農業被害額は計3億8千万円で、そのうち、イノシシが約1億9千万円と半分以上を占め、キョンは77万9千円にすぎないが、「今から手を打たないと大変なことになる」(県の担当者)と危機感をあらわにする。