OECDが加盟国の「超々臨界圧」と呼ばれる最先端技術以外の石炭火力発電所輸出向け公的金融を制限することで合意したことで、日本企業には歓迎とインフラ輸出への逆風という見方が交錯している。
歓迎する側は「石炭火力が一律悪玉でなく、超々臨界の高効率火力は全体の環境対策につながるとの日本の立場が理解された」とする。日本企業が強みを持つ「超々臨界圧」と呼ばれる高効率発電への金融支援が例外的に認められ、「実」を取ったというわけだ。
超々臨界圧では、10月に中部電力や丸紅などの企業連合がインドネシアで石炭火力を受注したと発表。政府もバングラデシュの石炭火力を支援するなど計画はめじろ押しで、引き続き官民連携での受注を積極的に進める。
一方、大手商社やメーカーの中には「超々臨界よりも一段下の超臨界石炭火力に輸出金融がつかない場合の影響は避けられない」と懸念する声がある。
超々臨界圧の発電所は導入コストもかさみ、送電網整備も欠かせない。低所得国では一段低い超臨界技術を求める声も多いが、インフラ輸出の戦略見直しを迫られる可能性がある。