暖冬の澄みきった晴天に誘われて散歩がてら、東京・日本橋にある福島県の物産を販売している「ふくしま館」に行ってみる。福島には3つの国があるといわれる。太平洋沿岸の浜通りと、東北新幹線沿いの中通り、そして会津地方である。
野菜コーナーには、ひと束200円のネギやニンジン、レタスなど、彩りが鮮やかだ。いわき産の「さんまのボーボー焼き」と、きざみ「喜昆布(よろこんぶ)」を買う。ボーボー焼きとは、いわきの漁師の料理で、サンマのすり身にネギやニラ、みそなどを交ぜて、ハンバーグ状にしたものである。
東京・築地市場では「常磐もの」といえば、いわきから茨城県北部の沿岸で取れた良質の魚をいう。いわき周辺は温暖な気候から、ネギの栽培がほぼ周年にわたっている。
さらに、高度経済成長の下で郡山・いわき地域が新産業都市に指定されて、東北一の工業出荷額を誇るまでに成長した。日立地域の企業城下町の中小企業も含めて、首都圏の工業製品の部品加工も担っている。