伝統と格式を重んじる東京屈指の花柳界である浅草花柳界が、かつてのにぎわいを取り戻そうと動き出している。料亭、置き屋、芸妓(げいこ)で構成する東京浅草組合の藤谷政弘組合長は、浅草の芸妓が日頃鍛えた技芸を披露する伝統の催事「浅草おどり」を来春、6年ぶりに復活させる方針を明らかにした。街を挙げたビッグイベントの復活をきっかけに、浅草花街の地域復興と芸妓の芸能文化向上を目指す。
「閉鎖性の強かった浅草花街をオープンに変えることで、これまで“一見さん”として敬遠してきた新しい客や、浅草を訪れる外国人観光客を取り込み、かつての繁盛を取り戻したい」。藤谷組合長は日本料理のブームや、インバウンド(訪日外国人観光客)の勢いをてこに、花街の活性化を目指す考えを強調する。
「浅草おどり」の復活は、その象徴となるもので、2017年4月をめどに公演を開く方向で、企業や自治体と交渉を始めているという。
浅草花街は、関東大震災やそれに続く戦禍に伴い、壊滅状態になった。戦後は関係者一同が花街の復興と再起に力を注ぎ、1950年に浅草おどりの前身である第1回浅茅会をスミダ劇場で開き、好評を博したという歴史がある。