ペットボトルの素材に使われ、自然界でほとんど分解されないプラスチックのポリエチレンテレフタレート(PET)を食べて分解する細菌を発見したと、慶応大や京都工芸繊維大などが11日付の米科学誌サイエンスに発表した。環境への負荷が小さいリサイクル技術の開発に役立つと期待される。
研究チームによると、PETは石油を原料として世界で年間5000万トン以上生産され、ペットボトルのほか衣料にも使われる。多くはリサイクルされずに廃棄され、分解されにくいために環境に蓄積し続けている。
チームは、堺市のリサイクル工場の土や排水から250個のPETの破片を集め、付着した微生物を培養した。この中から、PETを食べて栄養源としている細菌を発見、堺市にちなみ「サカイエンシス」と名付けた。
この細菌は薄いフィルム状のPETを、気温30度のときに6週間で完全に分解した。遺伝子を解析したところ、体内で2種類の分解酵素を産出していることが判明。PETを最終的に二酸化炭素と水に分解していた。