健康寿命延ばし医療費削減へ　注目される「免疫ビタミン」ＬＰＳ（２－１） (1/2ページ)

　□自然免疫制御技術研究組合代表理事、香川大学医学部客員教授・杣源一郎氏に聞く

　健康を維持しながら長生きするための重要な因子とされるリポポリサッカライド（ＬＰＳ）が注目されている。だれもが持つ自然免疫機能を強固にする「免疫ビタミン」の役割を果たすとされ、玄米やそば、ヒジキ、ヒラタケ、レンコンや生薬に含まれるという。ＬＰＳ研究の第一人者で、自然免疫制御技術研究組合代表理事の杣源一郎・香川大学医学部客員教授に話を聞いた。

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　◆免疫機能を強固にできれば病気に負けない

　－－昨年暮れに出版した『「免疫ビタミン」のすごい力』（ワニブックスＰＬＵＳ新書）が注目され、人気のテレビ番組にも出演したことで、ＬＰＳが広く知られるようになった

　「体を守る免疫機能を強固にできればそう簡単に病気には負けない。私たち研究チームは、ヒトの体に張り巡らされている免疫の“第１次防衛軍”とも言うべきマクロファージ（白血球の一種）という細胞に着目、マクロファージの働きを研究しその機能を生理的に活性化できる物質を探していく中でＬＰＳを発見した。身近な自然界にあって、誰もが口に入れることができる安心・安全な物質だ」

　－－自然界に存在するなら、これまでもヒトの免疫機能を活性化してくれていたはずだが、なぜアトピー症やがん、糖尿病などの生活習慣病が増えているのか

　「ＬＰＳの摂取不足＝マクロファージの弱体化が招いていると推測される。グラム陰性菌という細菌（微生物）の構成成分であるＬＰＳは、土壌が関係する環境の中に存在し、空気中に漂う。ところが、アスファルト化や下水道整備、農薬や除草剤の散布などにより、環境中のＬＰＳは減ってきている。抗菌、除菌グッズも数多い。人間は、菌との共存共栄で免疫力を高めるのであり、きれい好きの人は免疫ビタミンが少ない」