【高論卓説】「組み体操」事故多発の真相 (1/2ページ)

2016.5.2 05:00

 ■体力・教師の指導力不足、問題の根深く

 モンゴルや南米の途上国からの高校留学生を見ていると、かれらの基礎体力のすごさに驚かされる。日常生活のなかで、体力強化が自然と行われている証しであろう。かつての日本人も同様であった。が、現在の日本の小中学生の基礎体力は、生活習慣の大変化で想像以上に劣化・弱化している。

 だから「組み体操」や「柔道授業」での事故が多発するのであろう。

 運動会のメインイベントは、だいたい「組み体操」だ。全員で行動をともにし、適材適所で役割を与え、一糸乱れぬ演技。感動を呼ぶばかりか、光景の圧巻さに拍手を送る。生徒たちは、達成感を味わいつつ仲間同士で頑張りをねぎらう。

 苦しい練習を重ねて、やっと演技となるだけでなく、協調性や一体感を身につけさせる効果は、「組み体操」の真骨頂だ。

 だが、事故が多発し、「禁止」の風潮が全国に広がりつつあるため、心配する文部科学省はよく学校で判断するようにと各教育委員会に通知した。事故防止のためには、多角的な視点から策を講じなければならないのは当然だが、リスクをゼロにするために「禁止」するという規制だけの判断はいかがなものかと疑問に思う。すでに「騎馬戦」や「棒倒し」が運動会のプログラムから消えて久しい。

 2012年から中学校では、武道とダンスが必須となった。しかし、柔道の授業で負傷する生徒が多いと問題視されている。先生の指導力不足だ。

 「組み体操」を指導する先生たちも経験不足に加えて、指導力不足が負傷者を生んでいるにちがいない。高いピラミッドやタワーを作り出し、観客から驚嘆の拍手を得たいがため、より大きなリスクが伴うにもかかわらず、立派な作品を作ろうとするのであろう。身体教育やスポーツにはリスクが伴う。無理をさせずに、そのリスクを減らすのは先生方の仕事である。

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