太平洋戦争中、米軍に撃沈された旧日本海軍の戦艦「大和」の建造地、広島県呉市は22日、沈没海域の鹿児島県沖で無人探査機を使って撮影した大和の海中映像を公開した。菊の紋章や艦首部分などが映っており、7月23日から大和ミュージアム(呉市海事歴史科学館)で一般公開する。
同ミュージアムは過去に民間業者が撮影した大和の映像を公開しているが、呉市として5月に初めて詳しい潜水調査をし、ハイビジョンで撮影した。
映像には、艦首部分にある菊の紋章のほか、スクリューもはっきりと映っていた。他にも大和で使われていたとみられる皿のような食器や、火薬缶が散らばっている様子が確認できた。
調査は沈没地点の鹿児島県枕崎沖南西約200キロの海域で約10日間実施。範囲は東西450メートル、南北400メートルで、沈没していた水深約350メートルで写真約7千枚と約50時間分の映像を撮影した。
呉市産業部の笠井康弘副部長は「大和では多くの人が命を落とした。映像を発信することで戦争の悲惨さと平和の大切さを伝えたい」と話した。
大和は昭和20年4月、米軍機の波状攻撃を受けて沈没、約3千人が亡くなった。