ちょっと前に入学式を終え、新入生を迎えたばかりなのに、大学経営者たちは来年の受験生について頭をひねる。各大学は趣向を凝らして受験者数を増加させようと必死の体。関東の有力大学は、そろって大阪の近畿大に完敗した。受験生心理の難しさに閉口するばかりだ。
2018年問題という少子化の嵐は、弱小大学を直撃するといわれるから、大胆な改革をしなければ破産の危機にひんする。その改革に異議を唱える教授会に理事者側が対抗できないと困るため、文部科学省は法律を改正してガバナンスの徹底と学長権限の強化を進めてきた。
そして、受験生を集めるための“エサ”として「就職率」という数字を前面に掲げる大学が増加した。その高さを誇り、それを売りにする作戦だ。しかし、名だたる大学は、あまり就職率に頓着しない。
私の勤務する日体大は、教員志望が多いため就職率にそれほどこだわらない。各教育委員会は、現役学生をあまり採用せずに、数年間、非常勤講師を体験した経験者を採用する傾向にあるからだ。優れた教員を採用する知恵で、適性や指導力、人間性をきちんと評価したうえでの採用が全国的に一般化しているのだ。