【リオデジャネイロ=佐々木正明、モスクワ=黒川信雄】国際パラリンピック委員会(IPC)が国ぐるみの組織的なドーピングを理由に、ロシアのリオデジャネイロ・パラリンピック選手団を大会から全面除外した問題で、スポーツ仲裁裁判所(CAS)は23日、ロシア・パラリンピック委員会(RPC)からの不服申し立ての提訴を却下した。障害者スポーツでも大国のロシアが最大の国際大会から排除される異例の事態となった。
ロシアは今大会の18競技で267選手の出場を予定していたが、選手全員が出場できなくなった。「個人の権利」を重視し、条件付きでリオ五輪参加を認めた国際オリンピック委員会(IOC)の判断とは明確に分かれることになった。
IPCのフィリップ・クレーブン会長は「ドーピングがパラリンピックに入り込む余地は一切ない」との声明を発表した。
一方、この決定にロシアは激しく反発した。
ムトコ・スポーツ相は23日、「政治的決着だ」と批判。露下院体育・スポーツ委員会のスビシェフ委員長は「非人間的な決定だ。専門性を欠いたうえ、人道に反し、かつ理解不可能だ」と述べた。