人気深夜番組「勇者ヨシヒコ」にみるパロディーの極意 嫌われない「毒」の作り方とは (1/3ページ)

魔王を倒すため旅に出た、勇者ヨシヒコ(山田孝之、左から2人目)と仲間たち(C)「勇者ヨシヒコと導かれし七人」製作委員会
魔王を倒すため旅に出た、勇者ヨシヒコ(山田孝之、左から2人目)と仲間たち(C)「勇者ヨシヒコと導かれし七人」製作委員会【拡大】

 テレビ東京系で放送中の深夜ドラマ「勇者ヨシヒコと導かれし七人」(毎週月曜深夜0時12分~)が話題を呼んでいる。録画を含めた「総合視聴率」が7%を超えることもあり、深夜番組としては異例の人気。「勇者が魔王を倒す」というゲームを題材にした冒険活劇だが、作中には他局の人気番組や話題の商品のパロディーがちりばめられている。表現を抑えつつある近年のテレビ番組の中では異彩を放ち、パロディーの成功例として注目されている。

タブーに挑戦

 11月7日深夜放送の第5話は、ツイッターなどのSNSを中心に大きな反響を呼んだ。

 主人公の勇者ヨシヒコ(山田孝之)らは「ダシュウ村」で、バンド演奏がしたいのに農作業ばかりしてしまう5人の青年と出合う。村の守り神「ニッテレン」が魔物に操られ、村人にのろいをかけたのだという。ヨシヒコたちは、かつて最強の神とされた「シエクスン」や、別の神「テベス」に助けを求めようとするが、頼りにはならないとの情報が…。

 日本テレビ系のバラエティー番組「ザ!鉄腕!DASH!!」と出演者のグループ「TOKIO」のパロディーに始まり、民放テレビ局間の視聴率競争の現状を虚実ないまぜに描いた内容だ。

 元テレビプロデューサーで上智大学教授の碓井広義氏(メディア論)は「余計な解説はなく、分かる人だけが楽しめるパロディー。中途半端ではなく、針が振り切れている面白さがあった」と評する。

「果敢なパロディー」は枚挙にいとまがない