「ホームでは走らないでください!」
出発点の設定は、岐阜県の東海道本線醒ヶ井駅付近。緩やかなカーブの線路上からスタート。10両以上のコンテナ車を積んだ貨物列車だけあって、動き出しが遅い。加速もなかなかしない。
《ガタンゴトン、ガタンゴトン》
列車がレールの継ぎ目を通る度に、振動が座席から伝わってくる。かなりリアルだ。4D感覚で本物の電車に乗っている気がしてくる。
大型モニターを見ながらゆっくりと列車を進める。左右に広がる田園風景が美しい…などと見とれているうちに、速度計のメーターに目をやると、時速80キロまで上がっている。結構なスピードになってるのに、意外と気づかないものだ。
しばらく進むと、前方から駅が近づいてきた。醒ヶ井駅だろうか。緊張で確認する余裕もない。ランドセルを背負った小学生の男子と女子がホーム上でクルクルと追いかけっこをしている。ホームの端まできて急に向きを変え、冷やっとする。「ホームでは走らないでください」というアナウンスが頭をよぎる。その通りだ。
白シャツの男性が飛び込み
左のレバーを押し出し、ブレーキを入れてみた。貨物の影響だろう。こちらもやはり思ったより効きが悪い。「急ブレーキなど望むべくもないな」と思いながら、遠方に広がるきれいな山並みを眺めた。シミュレーターの映像は、実際に車窓から撮影した動画をもとにしているそうだ。