【Science View】 (1/4ページ)

2017.2.16 05:00

≪高脂肪食摂取による野生型とST6GAL1欠損マウスの体重増加≫野生型マウスとST6GAL1欠損マウスに高脂肪食を摂取させた。左は週ごとの体重の増加、右は精巣上体周囲の白色脂肪の重量を示す。野生型マウスに比べ、ST6GAL1欠損マウスの方が体重や脂肪量の増加が大きいことが分かる
≪高脂肪食摂取による野生型とST6GAL1欠損マウスの体重増加≫野生型マウスとST6GAL1欠損マウスに高脂肪食を摂取させた。左は週ごとの体重の増加、右は精巣上体周囲の白色脂肪の重量を示す。野生型マウスに比べ、ST6GAL1欠損マウスの方が体重や脂肪量の増加が大きいことが分かる【拡大】

  • 蕪木智子さん
  • ≪マルチブロックポリペプチドの原子間力顕微鏡画像≫クモ糸タンパク質と同程度のポリアラニン配列の存在比を持つマルチブロックポリペプチドは、ファイバー状の構造を形成することが分かった。1nmは10億分の1m
  • 土屋康佑氏

 ■肥満を抑える糖鎖を発見

 □理化学研究所グローバル研究クラスタ 理研-マックスプランク連携研究センター システム糖鎖生物学研究グループ 疾患糖鎖研究チーム 客員研究員・蕪木智子

 肥満は、高血圧症や糖尿病、動脈硬化をはじめとする生活習慣病のリスク因子であり、肥満に伴って脂肪細胞が肥大・増殖すると、代謝の異常や生活習慣病の発症につながる。

 今回、理研の研究チームは高脂肪食を与えて肥満にしたマウスの脂肪組織を調べたところ、末端にα2,6シアル酸を持つ糖鎖の量が肥満細胞への分化に伴って大きく減少することを発見した。これは、α2,6シアル酸を作る酵素ST6GAL1の遺伝子が、DNAメチル化により“オフ”になることに起因することが分かった。逆に、培養した脂肪細胞においてST6GAL1の量を強制的に増やすと、脂肪の蓄積量が減少した。また脂肪細胞では、接着性タンパク質のインテグリンβ1がα2,6シアル酸を持っており、α2,6シアル酸が少なくなるとインテグリンβ1の働きが弱まり、それが脂肪細胞の増殖や分化を促進することが分かった。

 これらにより、ST6GAL1が作るα2,6シアル酸を持った糖鎖は、インテグリンβ1などの働きを調節することで脂肪細胞の増殖と肥満を抑えることが明らかになった。実際、ST6GAL1欠損マウスに高脂肪食を与えると、通常マウスよりも体重や脂肪の増加量が大きくなった。

 ヒトの遺伝子解析でも、ST6GAL1が肥満や糖尿病と関係があることが最近報告されており、今後、肥満に関連する疾患において、α2,6シアル酸を標的とした新しい治療法の開発が期待できる。

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