大ヒットなのに受賞逃す「君の名は。」… アカデミー会員の“ジブリ信奉”も一因? (1/3ページ)

アニメ映画「君の名は。」(東宝提供)
アニメ映画「君の名は。」(東宝提供)【拡大】

  • 昨年8月に公開された「君の名は。」は邦画歴代2位の興行成績240億円を記録。いまだに上映が続いている。(東宝提供)

 日本映画歴代2位の興行収入240億円を突破し、中国、韓国などでも大ヒットしているアニメ映画「君の名は。」(新海誠監督)。しかし、1月に発表された映画専門誌「キネマ旬報」のベスト・テンでは圏外、米アカデミー賞長編アニメ賞ではノミネートもされず、アニメ作品のアカデミー賞といわれる米アニー賞でも受賞を逃した。興行成績と評価の間に表れた“落差”。そこにはどのような理由があるのだろう。

選考委員の“使命感”

 キネマ旬報のベスト・テンは、審査委員がそれぞれ1~10位の作品を挙げる。1位は10点、2位は9点と順位を点数化し、その合計点で順位が決まる。

 元編集長で現在は編集プロダクション、アヴァンティ・プラス代表取締役の関口裕子さんによると同誌のベスト・テンは「大勢の審査員に低い順位で投票されるより、少数でも1人1人に高い順位で投じられたほうが上位に入りやすい」傾向がある。

 今回はどうだったのか。2月下旬号が投票の詳細を掲載している。「君の名は。」は選考委員64人のうち、14人から78点を集めた。その結果、「団地」(阪本順治監督)と並ぶ13位だった。ベスト・テン入りにあと一息とはいえ、興行成績との乖離(かいり)が大きかったことに変わりはない。

 関口さんが解説する。

アカデミー会員に“ジブリ信奉”?