【講師のホンネ】十八代目中村勘三郎の教え 堀越一寿 (1/2ページ)

2017.3.29 05:00


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 十八代目中村勘三郎という人は、稀有(けう)なリーダーであり、人を育てる名人だった。現在の一門の結束力、活躍を見ればそれがわかる。勘三郎の教育法は、特に素晴らしかった。それは私自身の体験としても、最高の教育であったと断言できる。勘三郎とは楽屋や打ち上げの席などさまざまな機会に何度も注意やアドバイスを受け、また一方で過分な褒め言葉をもらったが、前者と後者では大きな違いがあった。それは「叱るときは2人だけで」「褒めるときは大勢の前で」という原則である。

 例えば打ち上げのにぎやかな場ですら、注意があるときは必ず2人きりの空間を作った。かたや褒めるときは大げさすぎるほどに大勢の前で褒める。「あそこは声掛けてほしくないところなの。でね、声を掛けないでくれたのはこの人だけなんだよ!」。その場の全員に聞こえるような声で褒めるのだ。

 勘三郎から注意を受けるたび、どうすればその期待に応えられるのかと真剣に芝居と向き合った。それはたとえようのない幸福な時間だった。「敬愛する人の期待に応えられる自分でありたい」。これに勝るモチベーションは、そうないだろう。

 もう一つエピソードがある。コクーン歌舞伎「佐倉義民傳」という芝居の初日。舞台を見て「この緊密な芝居に大向うは余計だ」と考え、終演後に勘三郎に問うた。今月は大向う不要である、という答えが返ってくると思っていたが、返ってきた言葉は「あなた、考えてやってみてよ」だった。

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