北陸新幹線長野-金沢の延伸開業から2年がたった今も観光客でにぎわう石川県で、一風変わった新幹線グッズが人気を呼んでいる。商品名は「撮り鉄」「乗り鉄」ならぬ「もちてつ」。外出先でスマートフォンなどの充電ができる携帯型のバッテリーで、新幹線の車体を忠実に再現した精巧なデザインが人気の理由だ。
開発したのは同県白山市に拠点を置くフェイス。梁井克社長(45)は「金沢の新たな象徴である新幹線を身近に感じてほしい」と話す。
長さ約20センチ、重さ100グラム前後。価格は3980円からで、一般的なスマホ1回分の充電ができる。充電中はヘッドランプが白く点灯する。現在販売するのは北陸新幹線や東海道新幹線など6種類。北陸新幹線は、車体に記されたアルファベットや数字なども実物通りに描き、開業時の東京発金沢行き一番電車を再現した。
同社は元々、自動車形のUSBメモリーやパソコン用マウスを販売していた。自身は鉄道ファンではなかったと梁井社長。顧客の鉄道ファンの要望に応え開発を始めたが「どうせ作るなら本物志向で」と細部にまでこだわった。
新幹線沿線の駅構内や百貨店で販売。地方に行けば得意先から「地元の鉄道で作れないか」との声が絶えないが、今は5月の発売を目指し、東北・北海道新幹線「はやぶさ」に取り掛かっている。梁井社長は「鉄道ファン以外の人も手に取って旅の記憶を思い出して」と期待を込める。